ノイド~愛のすくう星~【電子限定描き下ろし付き】
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ノイド~愛のすくう星~【電子限定描き下ろし付き】

上野ポテト

作者買いです

ネタバレ
2025年12月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ 山奥のポツンと一軒家に住むケイジは、森でノイドを助けます。ノイドとは人型の宇宙人で、匿えば罪に問われます。しかしケイジは記憶喪失で呆然とするそのノイドをニアと名付け、一緒に住み始めます。しばらくして2人は愛し合うようになり、ノイドと人間という違いはあれど、当たり前の日常を送る2人は人間の恋人同士そのものです。

ケイジもニアも特殊な境遇に置かれていますが、読者が想像しやすい様に工夫されていると思いました。社会背景の描写、人物の些細な表情や反応、セリフやモノローグから、それぞれの立場や心情が理解できます。ケイジに関しては再読するとより理解が深まります。

記憶を失ったニアの心情はとても興味深かったです。私達は記憶を自分だと思って生きているけれど、それを失っても自分は存在し続けるならば、記憶は自分ではない。「自分」とは何かという、根源的な問いにぶち当たりました。

ケイジは幼い頃から本当の意味では一人ぼっちでした。社会状況にも追い打ちをかけられ、精神的に限界だった。信じていた人に裏切られ、衝撃と共に怒りが湧きますが、自分も人に同じことをしたと気付き愕然とする。罪の重さに耐えかねて、裏切った相手に全てを洗いざらいぶちまけるまでの感情の変遷が、どこまでも人間臭くて、とても共感できました。

ケイジの祖母に関しては言い分が理解できず、何度も読み直して考えました。ふと思ったのは、祖母は孫に、家族への愛着を抱かせたくなかったのかなと。自分達は先に死んでしまうのに、必要以上に愛着を持たせれば、ケイジの性格からして、こだわって頑なになるのではと予想したのか。ケイジをそのまま受け入れて愛してくれる人と出会うためにも、内に籠らず外に出て変わっていって欲しかったのかも。祖母の思惑通りに事は運びませんでしたが、予想外の展開で祖母の願いは叶えられました。想像の斜め上を行く大団円には驚くばかりでした。

本編後の話では、ケイジが今までより自然体でいることが分かります。過去にニアが何を思って生きてきたのかも察せられ、2人がが惹かれ合ったのも頷けました。普通に出会っても2人は恋に落ちたかもしれないけれど、どんな自分でも愛してくれる確信を得るには、今までの全てが必要だったのかもしれない。それでも消えないトラウマはあるけれど、いつか本来の姿で満月の夜を2人共に過ごせる日が来ると良いなと思いました。
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