悪役令嬢グロリア・フォン・コードウェルの断罪と復讐
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悪役令嬢グロリア・フォン・コードウェルの断罪と復讐

万丸うさこ/SNC/たなこ

下巻はよ。下巻読了(2026/4/5)

ネタバレ
2026年1月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ と思うほどに面白くとてもたのしめた。Web版よりも情景描写や心情吐露などがいい塩梅で加筆されていて、購読して良かったと大満足。下巻が待ち遠しい。
 復讐ものは、果たすまでが結構苦しかったり辛かったりするので、途中で読むのをやめることもある。けれども今作品は面白く読めた。多分これは、亡霊のお陰だと思う。
 主人公のグロリアさんは隣国の王妹を母に持つやんごとなき血筋の筆頭公爵家令嬢であるが、あらすじにあるように、多くのクズどもに寄って集って陥れられて斬首刑となった。クズどもは、婚約者の王太子とその不倫相手の聖女、実父と彼と事実婚の平民後妻そしてその間に生まれた異母弟、公爵家使用人のうち特にグロリアさんの専属侍女などだが、無能で劣等感に塗れているくせに威圧スキルはご立派、権利は主張するが義務は果たさず責任転嫁ばかり、俯瞰できず分別も無く弁えられず傲慢で際限なく強欲、という人物のオンパレードだが、それら人物像を描いたep.がまた良かった。特に薔薇一輪を貰う後妻ep.にはゾッとした。此奴らをグロリアさんは恨んだし呪った。
 そして公開処刑を見世物と愉しんだ貴族やさらに罵声を浴びせてきた平民のことも呪いながら死んだ、と思ったら、前世記憶を持ったまま10歳児に逆行、プラス日本からの異世界転生者の魂も入り込み一つの肉体を共有する、新生グロリアさんになった。グロリアさん本体は、その転生者を「亡霊」と評し、また自分の肉体の手綱は決して離さず亡霊を従属させた。
 復讐を練るグロリアさんを、亡霊は現代日本の常識で諌め復讐をやめさせようとする念話が、何度となく出てくる。その度に、読み手も考えさせられるという、とても面白い構成のお陰で、辛くならずに読了できたのだと思う。亡霊は、お綺麗なことばかり述べるけれど、グロリアさんを識るにつれて共感するようになり、でもしっくりこないと異議を唱えるという根性があり、この掛け合いは結構、面倒くさい亡霊キャラの面白さが出ている。
 下巻読了。最後の復讐相手への仕打ちにゾクリ。幸せを享受させたエピローグが絶望へのプロローグという仕舞い方がもうお見事! クズどもはみな散ったし。ただ1周目では誕生していなかったニコラスくんに代表されるように、グロリアさんの復讐譚へは異見も出るような気もするが、徹頭徹尾、恩情無しで復讐を完遂するということがどういうことか、感嘆した。
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