新装版 月はみちかけケモノの恋
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新装版 月はみちかけケモノの恋

野白ぐり

もう一人じゃない

ネタバレ
2026年1月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 山の中で何百年一人孤独に過ごす狛犬の化身狛。
友達はいてもどこか距離があって孤独な伊月。
孤独なもの同士が出会って、孤独を埋め合う。人と人ならざるものが交わって幸せを掴むと必ず待ち構えている別れ。
分かっているのに、涙が止まらない。
孤独を埋めるように、寄り添うように二人の距離が徐々に縮まっていく過程はもちろんよかったのですが、狛の心理描写に胸が苦しくなります。
数百年ぶりに一人じゃなくなって、伊月を手放しなくない、離れたくない。でもこの手を離してやらないといずれ伊月を自分の手で誰にも触られないように閉じ込めてしまいそう。
そんな狛の気持ちが緩やかな日常の中に所々散りばめられていて、切なすぎてもう辛い。
妖になりかけていても伊月を心配して、伊月の事を思っている狛の健気さと、伊月がここで追ってこなければ狛は辛い感情のまま妖になるのに、ここでも思うのは伊月のことだけ。
それだけ狛にとって伊月という存在は、孤独を埋めてくれたかけがえのない存在。だからこそ自分の手に落ちないように手放そうとする伊月への感情は愛以外の何物でもないです。
そんな狛を受け入れて愛し合う二人によかったねぇとニコニコしていると物語は終幕へ。
狛の独白で語られる数ページに涙が止まらず、レビューを書く今も思い出して目が潤んでしまっています。
最後まで共にあり続け、伊月がいなくなった後も思い出と過ごすことで妖にならずに天寿を全うした狛に涙腺崩壊。
伊月も狛も消えてしまって、胸は苦しく涙は止まらないのに、何故か幸せな気持ちになる。
描き下ろしはほっこりと胸が温かくなる、日常を描いていてよかったです…!
読後の余韻に浸りながら、思い返しては涙が溢れてくる作品に出会えて幸せだなと噛み締めております。
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