真夏のユリイカ
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真夏のユリイカ

吾瀬わぎもこ

叡智の美

ネタバレ
2026年1月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ 昭和50年代半ば。過去に恋人を亡くし、学問に閉じこもるように生きる大学教授・鵜飼(数学)と、彼を慕う学生・土岐(西洋哲学)。専門は違えど、いずれも古代ギリシアより連綿と続く知の体系に取り込まれた男たちの愛の物語で、まるで小説、映画を鑑賞したような読後感でした。否、こう書くとあたかも小説や映画が上位みたいかもしれませんが、そうでは有りません。むしろ、これぞ漫画の力。ああ、ここまで表現できるんだなあ…
BLのカテゴリーとして「芸術領域」とでもいうのでしょうか、アートやスポーツ、学問に没入した先の同性愛という様式がありますが、本作もそのラインに属すると思います。叡智の美。けれど、叡智を求める崇高な精神も、宿るのは肉体。この、肉の存在こそが人間である証で、本作に描かれるそのせめぎ合いには胸揺さぶられる思いでした(教授に内在し自身も振り回されてしまう魔性の描き方とか…はぁはぁ)。だからこその、ハッピーエンドが嬉しい…!
吾瀬先生の作品には、いつも「やられたっ…(バッタリ)」とぶっ飛ばされてしまうセリフがあります。もちろん本作にも(それがどこかは内緒。皆さんもぜひ、それぞれにぶっ飛ばされる体験を)。圧倒的な画力のみならず、時代設定や全編を通して語られる博多弁等、シナリオにも感服いたしました。極上の短編。
ちなみに修正は極ゆるです。それも、美しかー。
(追記)本作から連想した折口信夫。学問領域は違うけれど、ふと鵜飼教授の姿と重なりました。でも、愛した教え子に先立たれる道は繰り返してほしくない。『死者の書・身毒丸』、読み直そうっと。
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