このレビューはネタバレを含みます▼
怖がりで、生活に支障が出るので幽霊ものは読まないようにしているんだけど、好みの絵と、方言の心地よさと、第一話の鮮烈さに、うっかり読み進めてしまった。
「く」がマジヤバイ。
夜道とか、夜トイレに行く時「く」が頭の中をよぎって心臓が縮む。
怖い恐い、そして切ない。
光の肉体で、光の記憶を持っている。
作中に出てきた哲学の思考実験、沼男(スワンプマン)のような状態かと言えば、沼男はあくまで複製であって、肉体の連続性は途切れている。
それに対してヒカルは光の体に憑依した。そして、光じゃないという自己認識があるので、間違いなくヒカルは光ではない。
光とは微妙に違う。けれど、人間の嗜好や考え方は変化するものだし、態度も、出来事や気分の反映で変化する。周りから見たら、中身が違うなんて絶対に分からない。
光の肉体で、光の記憶を持ち、思い出を自分の事として語るなら、他者にとって、ヒカルは、光と何が違うのだろうか。
沼男は「私」とは何かを問う問題だけど、
この作品は「他者」とは何かを問う作品だと思う。
ヒカルは魂を基準に見るけれど、
人間はガワ(肉体)にどうしても引きずられてしまう。
我々は他人の何を見て、その人だと認識するのだろうか。
我々はその人の、何を、愛しているのだろうか。
魂か。肉体か。記憶か。連続性か。
それとも・・・・
光ではない事を承知でニセモノでもいい、共にいることをエゴだと言うよしきが切ない。
8巻読了、10巻待ち
人間の理解が及ばないものを、人間である作者がどう描くかというテーマが大好きで、そこもグッドでした。
この作品の哲学部分がお好きな方は、映画『月に囚われた男』おすすめです。