名も知らず【コミックス版】
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名も知らず【コミックス版】

ヤナギナギ

オメガバ物の本質を描いた作品

ネタバレ
2026年4月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ こちらの作家さんのデビュー作と知って驚きました。
確かに作画は若干甘い所もありますが、それを補って余りある素晴らしい作品です。
読後にタイトルが沁みます。

話の筋はシンプルですが、土台に普遍的なテーマがあり、逆に話がシンプルな分人物の心理描写が豊かで読者は心を揺さぶられ、作者の表現したかったテーマと意志にぶん殴られます。

そもそもオメガバなんて妄想の産物なのに、導入部が女性なら誰もが抱える恐怖心から入るので自然と感情移入してしまい、ついヒロインの視点で読み進めるのでリアル感ありありで私は序盤から最後まで涙しながら読みました。

以下ネタバレ。

男女のオメガバ物。
タイトルにも書いた様に、オメガバースの世界の本質と避けられない問題を物語の柱にしています。

Ωのヒロインが知らないαにレ◯プされ出産し、数年後そのαと偶然再会し脅迫されて3人で同居します。
冒頭からΩの被害者視点で物語は進んでいきますが、実はそのαはΩに長い間陰ながら片思いをしていて突如道端でヒートを発症したΩを助けようと接触した所、逆に錯乱状態のΩに襲われていたという事が分かります。
Ωはαを襲った事を全く覚えておらず、覚醒時に状況誤認し恐怖で逃げてしまい、αはΩの誘惑に乗った事を悔やみΩに謝罪すべく仕事のキャリアを犠牲にして長年探し回るが見つからない。
数年後偶然再会して、Ωの子が自分の子だと確信したαは悲願を叶えるべく当時の真実を隠し子供を人質に取り悪役を演じてでも同居を叶えます。
Ωからすれば子供を人質に取られ、自分の人生を狂わせた名も顔も知らなかった男と暮らさなければならない地獄。
何とかして子供と脱出しようと画策しますが、その矢先にαの父親が尋ねてきてそこで真実を知り、あまりの衝撃と罪悪感で子供を連れて出奔します。
最後はハピエンですが、是非ともクライマックスシーンはネタバレなしで読んで頂きたいです。

フィクションとはいえΩとαの特性故の悲しさ、また繋がりの強さ、避けられない問題、人間の感情と意思など、それぞれがとてもよく表現されています。
オメガバはBL界発祥ですし実際にBL作品に多いですが、男女のケースの方がよりリアルで悲惨な事件になる事は明らかで、それを真正面からテーマにして描いた作品を私は寡聞にしてこの作品しかまだ知りません。
オメガバ物で読んで1番良かったと思った作品です。
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