このレビューはネタバレを含みます▼
鮮烈に残る枠先生の短編集。
「Kの支配者」
支配することに固執したKからの呪縛のような問いかけ。
どんな形であれ、思考がアキに囚われた時点でもう、圧倒的強者ではない。そんなKが自分の終焉を植え付けて、最期までアキの心を支配することに執着。
成功であり、敗北のような勝ち逃げをしたK。
アキにとったらKが全てで、Kに支配される世界でしか生きられない。不自由の中でしか呼吸が出来ないアキに、自由に飛ぶ指示が出来るのはKだけ。
ゆるしを乞いながらKの元へ逝ったアキ。
世間から見れば、洗脳されていた弱者かもしれないけど、Kの命さえも賭けられた唯一無二。
どちらが支配していたのか…どの答えも、2人にしか分からない、永遠の問いかけで秀逸な作品。
「HOUSE」
兄弟をテーマにした、究極の支配力を問うお話。
父親からの吐き気を伴うような暴君な所業は置いておき、まずは弟の龍蔵。圧倒的なドSな強者。世界を牛耳るのも容易いかもしれない。全員、龍蔵の下僕。
兄の龍彦は家督を継ぐために、人生と倫理観と性癖をねじ曲げられた被害者であり、加害者でもある。
あの家に生まれなかったら、見た目も相まって愛され王子になれたのに…
この世の地獄のような、あの家で愛憎繰り広げられて生きてきたから兄も只者ではない。
この兄と弟の、最終的にはお互いが望む形で快感を貪り生きてゆく形に言葉は要らない。
嫁には庭師がいるし、ある意味みんなハッピーですか?ね?
欲望と支配に塗れた、あの窒息しそうな家の中で…なにを得て失うのか…
龍斗の支配者としての開眼まで、見届けたい気持ち。