セキュリティ・ブランケット
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セキュリティ・ブランケット

凪良ゆう/ミドリノエバ

ブランケットを手放せるか

ネタバレ
2026年5月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ これは、依存から自立へ変わる痛みの話です。
主人公は、壮絶な過去を持つ高校生・宮。母を亡くし、孤独の中で生きてきた彼にとって、叔父・鼎(かなえ)が唯一の“安心できる場所”=セキュリティブランケットなんです。 でもその周囲には、鼎に長年片想いしている高砂、鼎に執着する幼なじみ、鼎自身も抱えている歪んだ関係が絡み合っていて、全員が誰かに依存してる状態で物語が進みます。
「セキュリティブランケット」というタイトルの意味は本来は「安心するための毛布」ですけど、この作品では「その人がいないと生きていけない存在」を指します。
宮にとっての鼎がまさにそれ。
でも物語はそこで終わらなくて、その毛布、ずっと持ってていいの?って突きつけてくる。
あと、依存がめちゃくちゃリアルです。
きれいな「愛」じゃないです。
宮は鼎に依存し、高砂は鼎に執着し、鼎は別の関係に溺れてる・・全員ちょっとずつ壊れてる。
しかもそれを「悪」として切り捨てないのが凪良ゆうさんで、救い方が優しいのに残酷、この作品のすごいところはここです。
普通のBLだと、「好きな人と結ばれてハッピー!」だけど、これは違って、依存してた相手から離れることが救いになる。
宮は「守られる側」から、自分で立つ人間に変わっていきます。
これがめちゃくちゃ痛いし、でも美しい。
でも、愛が全部“すれ違い”の形をとります。
この作品、ほぼ全員、好きな人にちゃんと届いてない
ずっと片想い、気持ちを隠す、違う人に依存する・・このズレが積み重なって、すごい閉塞感と切なさが出てる。
きっとこの作品は、ラストの「完全じゃない幸せ」をどう読むかが肝なんだと思います。
この作品の結末って、傷が消えないまま、それでも一緒にいるっていう形なんです。
過去は消えない、別の人を好きだった事実も消えない、それでもそれごと抱えて進むっていう、めちゃくちゃ誠実な終わり方。一言でいうと「”誰かに守られていたい自分”を手放す物語」です。
正直これ、かなりしんどいタイプのBLです。
でもその分、依存、執着、愛と救いの違い、このへんがめちゃくちゃ深く刺さる。読むのに、心の体力必要です。
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