悪夢令嬢は一家滅亡の夢を見た ~私の目的は生き延びることです~
近衛悠/大菊小菊/泉乃せん
このレビューはネタバレを含みます▼
5巻を読んで、まだ余韻に浸っています。
昨年初めて読んだ作品ですが、胸が震えて涙が止まらない衝撃的な出会いでした。貴族の破滅と光を一気に見たような気持ち。
この作品にはドラゴンも魔法も可愛い妖精も存在しません。貴族社会における人間同士の駆け引きや悪意が蔓延る混沌とした現実を描いています。どうしてこうなったのか、何が悪いのか、いくら考えてもわからない。この年齢の私がわからないことを、15、16の姉弟が必死に闘っている。派閥や学園内の争いだけではなく、子どもを都合のいいように利用したり消そうとする大人への抵抗もあり、たくさんの要素が絡む重厚な作品です。
主人公である姉ファリティナと鬼才と呼ばれる弟セリオンの愛情は、恋愛感情を超えた魂の深い部分に浸透する愛情に思えました。血が繋がっていなければ結ばれる可能性もあった2人かもしれませんが、婚姻よりももっと深い繋がりを持って生きていくのではないでしょうか。
哀れな存在とされた末弟ジェミニですが、その存在が姉弟たちの絆を強固にします。自分を責め続けるファリティナの心を溶かすのもジェミニ。ジェミニがいたからこそグランキエース家が復活できたといっても過言ではありません。
個人的には、ジェミニに生きていて欲しかった。ファリティナが望んだように陽の光の中で笑ってほしかった。私まで大泣きしてどうする、というカンジでした(涙)
ただ生きてほしい。すべてはそこに尽きますね。
近衛先生の絵柄だからこそ、この作品が綺麗ごとで済まない重みのある良作になったのだと思います。
この作品に関わる皆さま、ありがとうございました。
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