ここは今から倫理です。
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ここは今から倫理です。

雨瀬シオリ

「善く生きる」を目指して

ネタバレ
2026年6月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 倫理を担当する先生が、倫理で学ぶことを活かして生徒たちの様々な悩みに向き合っていくお話。
高校時代、私も倫理を学びましたが、とても退屈で哲学的な学問だなと感じたのが懐かしく思いました。あの時はさほど興味を抱かなかった倫理を、もう一度深く学びたいと思ってしまうくらいこの作品は面白く、日常における様々な問題と倫理との接点を上手く繋いでいます。そしてこの作品を面白くしているのが主人公の高柳。ミステリアスでクールな倫理マニアかと思いきや、生徒のために全力で走ったり、些細なことで大笑いしたりと、人間くさい一面もあって、そんな彼が色々な問題に向き合う中で生徒に諭す倫理の言葉がとても心に響きました。高柳の言葉を聞いて、生徒はすぐに改心するわけでもないし、完全に問題が解決することばかりではありませんが、彼の投げかけた言葉が、その人の心に波紋が広がるようにほんの少しの助けになっていればいいなと思える、そんな大人の願望も含まれた展開がより現実的で良かったと思います。また、高柳自身も、自分の心のあり方、生き方にとても謙虚で、その陰キャっぷりが倫理ともよく合うし、達観しているようでいて迷い悩む姿は、教師として嫌味がなく、人間としては一種の味になっていて、キャラとしてとても魅力のある人になったと思いました。彼の恩師への深い敬愛は父親への憧れであり甘えだと感じられる、そんな先生とのやり取りもとても面白かったです。きっと高柳の心を一番揺さぶる存在は先生で、家族ではなかったというその歪さが、高柳の深層心理であり、その複雑さが様々な倫理の言葉と共鳴したのかなと感じます。そして、私も高柳のように、日々「善く生きる」を目標にして生きていきたいなと思いました。
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