政略より愛を選んだ結婚。 後悔は十年後にやってきた。(分冊版)
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政略より愛を選んだ結婚。 後悔は十年後にやってきた。(分冊版)

大庭ジョルジョ/つくも茄子

ファンタジーに収まらない深読みができる

ネタバレ
2026年8月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 昨今、恋愛結婚が前提となり、特に『愛のない結婚』に対して忌避感がある。
お見合いでも本人の意思が尊重され、「親が決めた」「家同士の都合」は“悪だ”と言われて批判される。
果たして、それは『正しい』ことなのか?
と考えさせられる話だった。

結婚に限らず、合理性、社会的な影響よりも、その時の感情を優先させる。
そういう「自分の気持ちだけが善悪の基準」って人は少なくない。

“自分が”嫌な気持ちになったから悪、“自分が”傷付いたから悪。

そう言って、社会秩序を保つための合理的システムを「悪だ」「同調圧力だ」「差別だ」と批判して騒ぐ。
まさにサリーとリリアナ、そして王太子のしていることも本質は同じ。
国益よりも、貴族社会の秩序よりも、合理性よりも、感情を優先させた結果どうなるか。
その後の思考も、自分に都合の良い妄想ばかりで、現実に叩きのめされる。
正しく自分の軽弾みな“選択”の責任を重く突きつけられる。
そして王太子には「合理的な思考」も存在するので、余計に自業自得が際立つ。

原作未読ですが、いつかリリアナ王女は蜂に刺されてアナフィラキシーで亡くなるのでしょうか。
そんな気がします。

国王、宰相たち『合理性で国を動かす人たち』の存在に安定感があり、感情的な王太子一家との対比が良いです。
王太子のセーラ嬢に対する劣等感は同情の余地がありますが、私は『社会秩序を維持するための合理的システムは、個人の感情に対して無情であるべき』と考えているので、「だとしても王太子としてセーラ嬢と結婚するべきだった」と思う。
最新話の兄の方がよほど立場に応じた社会的責任、公共の利を理解している。

ただ、周囲の被害が大きすぎて胸が痛くなります。
国王もっとどうにかしろと思うけれど、タイミングを誤ると婚約破棄を認めた王家への批判にもなる。
また第一話冒頭が実現できるだけの、公爵とセーラ嬢の立場と求心力が育つのを待っているのかな。
王家への批判はそのまま国内情勢、内戦にもなりかねない。
王太子ひとりの責任にして廃嫡するための静観。
その過程での王太子一家による犠牲は止むを得ないとの考えでしょうか。
国王が打てる最善手は打っているようですしね。
ここが気になりますが、最後まで見届けたいと思います。

今作が好きな人は、『残り一日で破滅フラグ全部へし折ります』も好きだと思う。
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