このレビューはネタバレを含みます▼
実際にある場所が舞台になってるのでなんとなく不思議な感じでした。東京って暗渠多いですけど、こういう風に心情表現に使われるんだなぁ、作家さんってやっぱり感受性が豊かなんだなぁ、などと風景を想像しながら読みました。葉山のちょっとした非日常の感覚も分かるので、日常の忘れたい部分から離れて過ごすことの意味がより伝わるというのでしょうか。
全般的にセリフがけっこう詰まっていて読み応えがあります。明かされない秘密?もあり、最後まで引きをもって読ませてくれます。「龍」と「円」の距離感の縮め方もいい感じで、ベタなエロはなくストーリー重視系です。
ただ設定で気になるところはいくつかありました。「円」の父は△△(一応伏せます)なのになぜ円が生まれたのか、かつ親権を引き取りにくい父と一緒に住むのは相当稀です。また「龍」の父はイタリアで車のデザイナーをやっていたのに「事業に失敗した」という経営者的発言がありこれも違和感。リアルを舞台にしてるとそういうリアルさも気になってしまう私なのでした。
総194ページ。