宇宙を駆けるよだか
」のレビュー

宇宙を駆けるよだか

川端志季

内容が深くてよかった。

ネタバレ
2016年10月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 人はまず見てくれという、自分ではどうしようも出来ない部分でふるいにかけられ差別され歩く道が変わってしまうという、リアルな問題を捉えていてとても面白いところに目をつける、構想力のある漫画家さんだと思いました。
テーマが割と重いのに、その捌き方が上手いので暗くならずにむしろ温かい気持ちを持たせる運びになっていて、それもとても素敵でした。
容姿と というのは、男の子にも大切ですが女の子の方がより重要視される部分が現実にあると思います。
でもあゆみが、愛されてきたのはそれだけではなくて、その心持ちや言葉遣いなど内面的なものも当然大きくて。でも難しいのが、それだけの内面の可愛さや素直さいっぱいに育つことができたのは、美貌を持って生まれたことも大きいと思います。
見た目で酷な扱いを受けるという環境に育たなかったので、人と比べて容姿での劣等感を感じることやそれによって傷つくことがなかったことは、あの純粋な優しさのまま育つ理由として大きいと思う。
見た目は内面の魅力の育ち方にも影響を与えてしまうから、容姿はやはり関係ないとは言い切れない。
でも、あゆみと入れ替わったあとの然子は、沢山あったニキビがなくなり綺麗な肌になっていて、表情も明るく言動も可愛らしかった。そうすることで周りの印象も変わってくるし、例え劣っているとしても、自分にできる前向きな努力はやってみるのとみないのでは大きく違うのだということが上手く描かれていました。
そして、どんなに見た目が愛らしくても、内面が伴わなければ醜くなってしまうということも。
よくぞこんな発想ができたなという、ただのラブストーリーでは終わらないメッセージ性がとてもよかったです。
ただ、序盤から全てはあゆみのためだったとしても、やはりわたしは火賀くんでなかったことが大きな不満。
あれだけまっすぐに支え続けてくれて、矢面にたってでも守ってくれる人は中々いないし、解決策を見出したのがしろちゃんだとしても、それは頭の回転や発想の転換力の違いだから気持ちの強さなんて関係ないし、何があっても安心できるだけ愛してくれる人が一番だと思うのです。
だから、相手がしろちゃん、という点が本当に不満。笑
それから全体的に綺麗な絵ですが、特に男性の横顔がなぜか微妙。
今後横顔も素敵に描いてくれるようになると嬉しいですね。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!