誘惑の千一夜
」のレビュー

誘惑の千一夜

リン・グレアム/麻生歩

自ら決めたわけではない結婚 意地の張合い

2016年10月16日
ほんとは好きになってたけど言えなかった。よくあるパターンですがこのヒロイン、砂漠の異教徒に嫁ぐ。

金目当てかと誤解する彼、というのもHQの定番。

彼女は彼の心は自分にないと思って苦しむけれど、彼は結婚しないと自分で決めてた理由があった。
その理由、昨日読んだHQにもあったのと同じ。あるんだなぁと、今どきこの問題は多そうだけど、昨日も今日も女の方便に使われており驚愕した。
お話の世界だからなのか?

お仕着せ結婚で幸せになることも多いHQの中でも、このストーリーは風習の異なる社会へ嫁ぎ、彼は彼で何考えてるかちょっとわからない、という設定。閉鎖空間みたいなところで頼れるのは夫だけ、というときにそれは辛いかもしれない。

実は彼はずっとヒロインのことを好きだった、というシーンはやはり萌え要素。でも、中東系のストーリーは、想像する現地での暮らしぶりには気晴らしがなさそうで、どれほど彼が愛してくれたとしても、飽きそう。
いつか飽きたらこの結婚を解消する、というこのストーリー中の条件がいつでも口を開けて待っているように思えてた。

彼に守られて子宝にも恵まれそれで充分なのかもしれないが。


とても濃い印象を残す唇のあつい男性をお描きになる先生の絵を、私は、いちジャンルとしてその個性を楽しんでいて、その一方、人によっては濃さ故に敬遠する人がいることも、解ることは解る。
他の先生の描く男子はもっと白っぽいから、鋭角な輪郭を持ち、影の強い黒い麻生男子は強烈なプレゼンスを放つ。
独特な身体の線も人によってはアピールを感じ、また、人によっては誇張を感じるかと思う。
私はこの画風が醸し出す世界観に時々住みにいって旅気分を味わっている。

私が気になるのはそこではなく、別作品でも書いたことでもあるが、赤ちゃんについて、もっと人間くさく見えて欲しい、ということ。
先生の描く赤ちゃんの眼はクレヨンしんちゃん的なデフォルメなため、少しリアリティが犠牲になっている。
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