十九世紀の恋人たち Ⅰ 女相続人に求婚を
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十九世紀の恋人たち Ⅰ 女相続人に求婚を

佐柄きょうこ/ニコラ・コーニック

私の永遠の愛は君のものだ

2016年11月23日
財産目当てを見透かされて否定しない潔さ。でも、愛していることを証明できなかったといって去ろうとした彼は、ヒロインを会ったときから愛してしまっていた。
愛しているとの証明とは一体どうやってするものだろうか。証明は可能なのか?
このストーリーでは、ヒロインを、信じ、庇い、彼女の生きる上で障害となっているものを取り除いた。
優雅とか振る舞いが品あるように見えるとか、果たして真のレディとはなにか、正面からの答えはしていないが、少なくともレディとされてる人が本質から遠い、ということをいうストーリー展開によって表している。
彼の目には、ヒロインがどのような信条を持とうがお転婆をしようが、妻にしたい女性であり、自分の愛を認識して受け入れてほしい相手だったのだ。

このストーリーの中には男性のほうの評判が、そのレディとされている軽々しく遊ぶ人物によって語られる場面はあっても、その放蕩を示すものは提示されない。
ヒロインがこれまで家族愛に恵まれなかったことが説明されているが、身の回りの人には味方もまたなかなかいて、一概に不幸とばかり言えない人生。
相続資産目当ての彼さえ、結婚の本当の目的そっちのけでヒロインへ愛情を寄せる。
ヒロインは総合的にいって幸福なほうだろう。

時代が窮屈であった。そこにはヒロインの、女性として自由が制限されている息苦しさがある。
その窮屈さから、彼は解放してくれるだろう。

私はこの話は、彼のお父様のことが懸念材料かと思っている。
舅が結婚後に二人の災いとならないことを祈るばかりだ。
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