面白い、そして下らない。





2016年12月1日
何年か前に映画化されるということで知って、何気なく読んだところハマった。個々の人間描写にリアリティーがあって、ラストは不評だが最期まで読みごたえがある。面白い。面白いのだが、胸糞の悪さがところどころで残る。それはクソみたいな不良が成敗されぬまま展開することであったり、大状況下での一般大衆の無関心さの強調であったりする。作者は逆説的にそうした「悪」を告発したいかのようだがそれに失敗している。むしろ作者自身のなかにある歪んだ人間性の吐露を感じる。もう一度言う。この作品は面白い。面白いが、作者の人間性の歪みに対する腹立たしさというものがどうしても残る。

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