緋の稜線
」のレビュー

緋の稜線

佐伯かよの

「黙って見守る」事の難しさ

ネタバレ
2017年1月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 戦後の焼け野原から、嫁ぎ先の百貨店事業再建を目指すヒロインの一代記。
ヒロイン瞳子も、女優に身を投じる小姑の和音、戦争中は反戦主義者として特高に追われるも戦後ジャーナリストになる寿々子ら登場人物が皆魅力的。
百貨店再建や発展に駆けずり回っていたヒロインですが、物語中盤になると社長の座は息子に代替わりして、ひたすら見守る立場に転じる。並の経営者ならば代替わりさせても自分の方針を押し通し、その考えに添う者をトップに据えようとするもの。現実にいろんな企業で代替わりの際に方針相違をめぐってどたばた劇を繰り広げているのをみていると「黙って見守ることがいかに蒸すが香椎か」を痛感させられます
読みはじめた頃はヒロイン瞳子の魅力は百貨店再建へのひたむきさにあると思っていた。でも一番の魅力は「自分と異なる考えを受け入れられる寛容さ、過ちを認める潔さ」にあるのかもしれない
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