さらい屋五葉
」のレビュー

さらい屋五葉

オノ・ナツメ

風向き変わって

2017年2月8日
あるのは絵と言葉だけ。それなのに、まるで五感全てで江戸時代を味わっているような臨場感。ストーリー展開がシリアスだからか、特に江戸の湿り気を肌に感じるようでした。
今より闇夜の深い時代、それぞれに暗い過去を抱えた登場人物達の心の痛みが切なかった。そして気弱だけれども性根の優しい主人公・政が、そんな彼らの心に少しずつ灯を点していく姿にグッときました。

ラスト、湿った空気がどこかに拐われて、爽やかな風が吹き抜けるよう。
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