特攻の島
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特攻の島

佐藤秀峰

今だからこそ手にとって

2017年5月5日
特攻に意味がないと感じながらも、死に向かって進まないといけない。自分で何とか折り合いをつけようとして行くが、どう考えても自分の死に意味が見出せない。そんななか着々と死に向かって時間だけが過ぎて行く、緊迫感が生々しい。特攻に意味があったのか、ただ若者が自分の死の意味について、自問自答を繰り返しながら、早々と命を散らした事だけだったのではないか。読んでいて、涙が止まらない。感動はしない。ただ「どうして・・・」という虚しさで涙が止まらない。
山口県の大津島。一度訪れたが、こんな人里離れた島で、若い命を必死に鼓舞して、狭くて暗い回天に乗り込んで命を散らした若者たちがいた事を思うと、切なくて虚しくて、その地を踏みながら涙が止まらなかった。緊迫したアジア情勢。日本は確かに今危機に面している。しかし、煽られるがまま、改憲の道を真っ直ぐ突き進んで良いのだろうか。彼らが命をかけた意味はあったのか?彼らが守りたかったものは何だったのか?彼らの散った命に意味を見出すことが出来るのは、今の私達なのではないか。今一度、ゆっくり考えて欲しい。あの戦争に負け、原爆を落とされた唯一の国だからこそ、私たちがすべき事は、他の国と同様、武装する事なのだろうか。世界に唯一無二の存在として、誰もが幸せに命を落とさず暮らせる世界を作る為に、日本ができる事は何だろうか。
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