羊の木
」のレビュー

羊の木

山上たつひこ/いがらしみきお

好き嫌いハッキリでる作品

2017年5月30日
実写映画化もされるという「ぼのぼの」のいがらしみきお氏が作画を担当した異色作。
凶悪犯罪の受刑者が多く登場することで内容はかなり生々しく凄惨な場面も多いのですが、「ぼのぼの」に通じる同氏独特のコミカルな絵柄だけに、凄惨さを薄めるためのマイルド要素のはずが、逆にコミカルな絵柄なのに内容はどんどんハードになっていく感覚のズレが気持ち悪さを増幅し読後感は非常に厳しいものがあります。
内容的には現在進行形で起きている事件部分と事件そのものを構築している部分の2重構造のミステリーになっており、その両方で多くの人間関係が複雑に入り組んでいくので、気軽に読み流すと人物把握ができず内容や推移が理解しにくいので、読むなら一挙読みがおすすめです。
最終的には全容が収束していく中、最後の最後で予想外の方向に飛び火してしまうのが、この作品の根底にある犯罪への警鐘なのか人間が抱える闇の深さなのか、いずれの意図なのかはわかりませんが、これまたよい後味にはなりません。
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