ファインダーの真実 ~ファインダーの標的シリーズ(5)
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ファインダーの真実 ~ファインダーの標的シリーズ(5)

やまねあやの

満足

ネタバレ
2017年7月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 今回も1冊まるまるシリーズ作品。
香港編完結。
やっと麻見と再会…と思いきや、そう簡単には行かない。やまね先生も焦らす焦らす、上手い。
高羽の試練は続き、さすがの彼も負けん気にも翳りが差す。やっと麻見に会えるとホッとしたのもつかの間、新たな苦難が待ち受けているのだから当然だろう。
そのため久しぶりに聞く麻見の声につい弱音を吐く。高羽のそんな様子に麻見が敵方にキレまくるシーンは、彼への想いを表現していて印象に残る(敵方死んじゃったけど、高羽に酷いことしてたし良いよね)。

それでも終盤になると、高羽の負けん気が復活。というより高羽もキレた? そのせいで高羽は最大のピンチになってるし、麻見も焦っているが、それもまた二人の再会を盛り上げている。
泣きながらも言葉だけは必死の強情さを見せる高羽に麻見が謝るシーンもまた印象的。麻見が秋仁に謝るなんて、シリーズ作品通じて後にも先にもここだけ(現8巻時点)。注目。

また高羽も麻見への想いに変化、というか、押し込めてきた思いを自覚してきたような。初めて高羽が麻見に対し積極的になって、素直に互いを求め合う姿を見られるなんて。

飛龍も気持ちに区切りが付いたのか。麻見と高羽がしっかりと抱き合う姿をどんな想いで見つめていたのか、それを思うと少し切ない。後に秋仁が思い返していたように、この時の飛龍はもう戦意喪失、最後の意地を見せただけという感じで痛々しかった。第3巻でのふてぶてしい悪者振りが嘘のよう。彼にも何かしら救済があると良いけど。
それから葉はどうなる?彼もまた後に何かしらの形で出てくれると嬉しい。

一方でミハイルは第3巻時の飛龍のようにただのお邪魔虫、敵役でしかない。今回の彼は良いところ無しだけど、茶目っ気もあって妙に魅力的。
これで大人しく引っ込むのは彼のプライドが許さないだろうし、今後また登場あるかも。

巻末は南の島での二人。自身の傷を癒すためでもあるが、それ以上に高羽の心の傷を癒すために連れてきたらしい麻見の気遣いに悶えてしまう。でも優しい言葉はかけない、そこが麻見らしさで良い。
今後の二人の関係にどんな変化があるのか、目が離せない。でも最後のシーンだとまた元に戻ってるけど。やまね先生の言う『奈落生活』が楽しみ。
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