個人的な大戦国絵巻





2017年8月4日
古代ギリシャにおいて貴族から奴隷へと没落するも天才的な知略・戦略を駆使し、やがては大英雄アレキサンダー大王に仕えるまでに躍進する少年エウメネスの波乱の生涯を描いた成り上がり大河ドラマ。
細部の不明瞭な登場人物や史実の空白、そして解りづらい古代ギリシャの方向感覚を、主人公をナビゲーターとして据えることによって割とスムーズに展開していく。しかしエウメネス自身が歴史の歯車の一部でありながら「ヒストリエ」の潤滑油的な役割をも背負っているため、日常描写から戦場描写までエウメネスの記した書記をナレーションした回顧録のようで、作風も相まって残虐描写であれ情緒的な描写であれ割と整頓されていて淡薄な印象が強い。描き分けは十分ながら、古代ギリシャの複雑な名前を覚えるのが難しい。ギリシャ神話のほうがまだ親切である。
しかしながら読みだしてしまうと止められない・止まらないというのも岩明均作品の魅力である。
細部の不明瞭な登場人物や史実の空白、そして解りづらい古代ギリシャの方向感覚を、主人公をナビゲーターとして据えることによって割とスムーズに展開していく。しかしエウメネス自身が歴史の歯車の一部でありながら「ヒストリエ」の潤滑油的な役割をも背負っているため、日常描写から戦場描写までエウメネスの記した書記をナレーションした回顧録のようで、作風も相まって残虐描写であれ情緒的な描写であれ割と整頓されていて淡薄な印象が強い。描き分けは十分ながら、古代ギリシャの複雑な名前を覚えるのが難しい。ギリシャ神話のほうがまだ親切である。
しかしながら読みだしてしまうと止められない・止まらないというのも岩明均作品の魅力である。

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依子 さん
(男性/40代) 総レビュー数:3件