このレビューはネタバレを含みます▼
「爪先に光路図」
大学生の岩井は、菌類学者の助手のバイトとして室田と出会う。室田の教えてくれる未知の世界に触れているうちにいつしか岩井は室田に心惹かれて…。繊細で背景まで美しい絵と、詩的なモノローグ。森の中にでも入り込んでしまったかのような気分に。癒されました。
「残灯」
岩井の女先輩目線の短編。その後の岩井と室田の様子をちらりと見ることができます。7ページ。
「さかなの体温」
眠る人からでてくるさかなが見えるひろのお話。優しく不思議な空気感です。
「午前0時の回遊」
社会人になったひろと誠司のお話。2ページ。
「八月、夏の底」
亡くなった祖父の家で春彦はこうという名の少年と出会う。こうは実は…。こうとおじいさんの交流を想像するだけで胸に込み上げるものがあります。表題作も素晴らしかったのですが、私はこちらに強く惹かれました。
「夏来るらし」
その後のこうと春彦のお話。2ページですが、これを読めてほっとした気分になりました。
青井先生の初コミックス、その完成度の高さに驚きです。素晴らしい絵と独創的なストーリーで
穏やかで心地よい気分に浸ることができました。