残酷な神が支配する
」のレビュー

残酷な神が支配する

萩尾望都

残酷な色んな愛の形

ネタバレ
2017年9月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 絵柄が少し古く感じますが内容に惹き付けられ、3巻無料から全巻購入。

とにかくストーリーが重たいです。
初見時には途中で色々キツくて何故か泣いてしまってました笑

サスペンスヒューマンドラマかな?
少女漫画、BL、として読むには残酷過ぎる。
そもそも定義づけするような物語でもないんでしょうが、偏見なく誰にでも読んでほしいと言える内容でもないので、耐性のない方にはクッションが必要か。

同性同士のお話は個人的に好きではないんですが、それを含めても続きが気になり、エグくても、ラストがハッピーじゃなくても、面白かった(嬉しい感情はほとんどないですが・・・)

尊厳を壊される、ってこういうことなのかと。
主人公がめっちゃ良い子って訳でもなく、少し幼さが残ってて甘ちゃんでもあって、薄ら反目したマザコンのようでもあり、・・・だからといって他人に自分自身を歪められるなんてことがあっていいのか。

壊れてしまったからこその色欲なのか、もしかしたら元々の気質としてあったのかは不明だけど・・・。
情緒も何もない言葉で言うと、恐喝からの暴行で虐たいじゃん。
そらもうトラウマのPTSDで苦痛から逃げる為に性質自体変わってしまってもおかしくないよね。
洗脳みたいな部分もあるし。
それに加え、実は守ってるつもりが人身御供だったのもキツイ。

正直人○しもやむを得ないと思う。
まぁ憎悪を孕んだ最愛の母をも巻き込んで
るから、自分自身で更に一生残る傷を心につけてしまったんだが。

そして義兄もそっちにいくのかよと。
義父の後を追ってるのと一緒。
そういう血なのか。
決して清らかな愛ではない。
しかし身も心も共有することで独りで耐えなくて良かったことになるのか・・・。
心理が追いつかない。

最後には理解者を得て(本当のところは他人に自分の気持ちを理解できる訳ではないが)、少しずつ向き合って赦していくようななんともいえぬ終わり方だった。
けど、現実こそこれからも人生は続いていって、苦悩しながらも折り合いをつけ、少しずつ少しずつ薄れさせていくしかないんだろうなと、共感も何もかもできないが、感じ入るところがあった。

メインのキャラ達皆、どこか狂っていて、それぞれの愛という名の押し付け信念みたいなのを持っていて、何が正解なのか善悪だけで分けることのできない、人間の強欲で愚かな物悲しさが、心を抉られる作品でした。
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