坂道のアポロン
」のレビュー

坂道のアポロン

小玉ユキ

音が聴こえてくる!

ネタバレ
2018年3月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ まさかこんな大作になるとは…!!

初めは長崎弁に痺れてしまい(笑)、青春群像劇だと思って楽しみに読んでいました。

孤立しがちな薫くんに仲間ができ、仄かな初恋、ジャズへの深入り
…とサウンドオブミュージック封切りや学生デモなど50年くらい前の風俗を交えながら進んでいき、
どんどんへヴィーなネタが増えてきて、7、8巻なんて涙、涙です。


絵柄は余分な線がなく、すっきりしてとても見やすいですが、風景が語りますよー!
ここぞというポイントで描かれる坂道、年数の経過、それぞれに歩いてゆく(或いは突き進んでゆく)人物たち、
9巻という長丁場ですが中弛みなし!
これだけの巻数が必要だったんだと解ります。
ただの青春ものではありません。
読了後は濃密な映画を見終わったように溜め息が出るでしょう。

あっ、映画化なんだってね?
私は見ませんが、映像化向きの作品だとは思います。
映像で見なくても画面からコルトレーンやサラ・ヴォーン(鳩だけど)が聴こえてきますよ。


個人的には百合香さんの恋に大注目でした。
高校生の暴走みたいな激しい情熱を受け止めて、しかもそこまで大切にしてくれていたなんて、
上京列車のシーン、感動しちゃいました。
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