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今月(4月1日~4月30日)

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シーモア島
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投稿レビュー
  • ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する

    木乃ひのき/雨川透子/八美☆わん

    キャラ達の心理が考え尽くされている!
    ネタバレ
    2024年1月11日
    このレビューはネタバレを含みます▼ とくにアルノルト殿下の精神的に未熟な部分と彼の言動の整合性が取れていて、とてもリアルだと思います。殿下は過去のトラウマや自分の弱み・恐れているものを、ある程度自分の中で整理できている人です。なのでよく少女漫画でみるような、殻に閉じこもっている(自分から人間関係を築かない)不愛想なイケメンヒーローではありません。違和感を抱いたり、面白そうと思った人(例えばリーシェ)に対しては自分から積極的にアプローチできるくらいの社会性や自信はある。特にビジネス的・政治的なメリットがある関係性は「自分は戦略的に動いてる」という精神的なクッションがあるからより抵抗なく(傷つくことを恐れず)飛び込める。

    でも、パーソナルな人間関係にはそういう合理的なクッションは普通存在しない。はて、追い詰められたように見えるが、殿下はそんな心理と向き合えるほどの強さはない。なので殿下は「どんな人間関係も自分は無慈悲に戦略的に動いている」というクッションを設けてる。これを掲げている以上、傷つかずに済むが、リーシェの行動によってはリーシェを切り捨てなければならないことも意味する。でもそれに抵抗を覚え始めてる。かといってその恐れに向き合えるほどの強さはまだ身につけてない。そこから生まれた懇願のような命令・・『俺に お前を排除させるなよ』。

    そんな複雑に未熟な殿下が、よく少女漫画に出てくるような天真爛漫なヒロインの、素直な(シンプルな)言動だけでほだされるような人ではない・・ということを作者は良く分かってらっしゃる!!このヒロイン(リーシェ)は知性や能力があるだけでなく、絶望も苦労も程よく経験した精神的に成熟している女性。考えてみればループの結果 精神年齢45歳くらいですしねw リーシェは始めから、どんなときも、懇願のような命令にさえも、殿下に〈ただただ素直で愛情のこもった言葉をなげかける〉みたいなことはしてない。いつも殿下のことを真正面から向き合っていると示しつつも、殿下が予想もしなかったような見解・考え方・気付きを交えた言葉を返している。殿下の感情、理性、価値観の全部にインパクトを与えるような言動によって初めて殿下も変わりつつある。でも、その変化のスピードもまた早すぎずリアルでいい!とにかくとても大好きな作品です・・。
  • 【ラブフリック】挿入NG~アラサー白石さんはセックスを拗らせている~

    PIKOPIKO

    コミュニケーションを学ぶのに最適の作品!
    2023年9月6日
    この作品は、エロの部分を除けば、日常でもよく見られるコミュニケーションのすれ違いを表現してて素晴らしい!この主人公は『性的にして欲しくないことを主張するのは当然の権利でしょ』と言う正論を唱えてる。でも、その正論を盾に相手とちゃんとコミュニケーションを取ろうとしていない。相手にだけ価値観や行動の変化を強要している。本来ならお互いどこまでの妥協なら許容範囲なのかを話し合うべきなのに、それをすっ飛ばして『これが妥当な中間地点でしょ!』と主張している。そして相手がそれとは反対の行動を取れなくなるような言葉を放つ:「あなたはそんなことしないでしょ。いい人だから」。極めつけに「信じているから」と言って隙すらも与えない。一見まともなことを弱々しい口調で言ってるように見えるけど、心理的にやってることは相手を支配しようとしている。


    相手の人も、「あなたはわかっていない」と言うだけで、具体的に何が不満なのかをちゃんと言語化できていない。むしろ言語化しようともせず、行動(言ってしまえば暴力)で相手の強要を上回る強要でねじ伏せようとしている。


    お互いに、伝え方を見直さずに自分の今までのやり方で突っ走ってる。そして怒りやもどかしさがだけが募る。日常でだいたい見るコミュニケーションのすれ違いの構想とそっくり!
  • 土星のルール~あなたが恋をしていても~

    ハナ/麦谷 那世

    結婚する意味は互いの心の実家になるため?
    2023年9月6日
    「ポリアモリーの人が結婚する意味あるの?」って聞かれがちですけど、そういう夫婦の関係性は「心の実家」みたいなのかなって思いました。落ち着くし大事だし死ぬ間際までお世話するけど毎日は合わない、みたいな成人した大人と実家との関係みたいな。でも出自で偶然決まった実家とは違って、自分から能動的に選んだ相手に性愛が足されたのがポリアモリーの夫婦なのかな?って思いました。一夫一妻や一途な愛が「本物」かつ「最上級」とされてる社会規範の中で、主人公が自分の気持ちや価値観に自信が持てないようなのが辛い。別にポリアモリーを推奨したいわけじゃないけど、歴史を振り返ってみれば「最上級の愛の形」なんて時代や文化によって左右されてるのだから自分に正直でいてほしいな。この主人公みたいに夫や恋人にちゃんと伝えてれば、傷ついてもその関係性に参加し続けるのは個人の自由になるわけだし。ポリアモリーだけではなくアセクシャルみたいな方々の作品も増えれば、世の中の「普通」が少し揺らいでそこから外れてる人たちがもう少し周りの目を気にせず「自分なりの本物」について周囲と対話できるようになる…といいな。

    4巻までしか読んでないんですが、こういう違う愛の形を描いてる作品が増えてくれたらいいなという思いで高評価にしました。