このレビューはネタバレを含みます▼
理代子先生のお書きになるものってどうしたってこんなに悲劇ばかりなのでしょう。それが魅力で、私も大好きなのは間違いありませんがやはり毎度毎度嘆いてしまう。質の高い嘆きなのでしょうね。ベルばらで、おにいさまへ…で、クロディーヌで、ありとあらゆる先生のご著作で報われなさ苦しさ噛みしめて、これ以上の悲劇があるというの、と思っていた私でした。だけれど、名高き鬱漫画は流石です、思いもよらぬほどの大打撃。今度こそこの上ない絶望と、それに負けぬ幸福を味わいました。塩キャラメルみたいなものですよ。悲劇のどこに幸福があるのよ、とおっしゃるかた、もう早く人生も恋愛も終わったほうが幸せだと思うくらいにみなさん脇役という脇役まで余すことなく怒涛の不運なのです。だから結末も、悲痛にくれると同時に生きながらえるだけ痛々しい主人公でしたから、よかったね、やっと終わってこれでよかったね、と涙ながら呟くことになるしその分みなさんの束の間の幸せがとても輝くのでしょう。哲学的で愛があって、いちどでいっぺんに大人にしてくれる、そんなオルフェウスの窓ではありました。大好きです。