このレビューはネタバレを含みます▼
過去のこあら先生の作品が好きで、この作品も期待を込めて1話配信日から欠かさず追っていました。起承転結をきちんと練られていて、回を増すほどに読み応えが増し、最終話のカタルシスは過去一大きかったです。この臨場感は単話買いの利点だなと思いました。単話の最終話がこれ以上なくきれいにまとまっていたので、単行本の書き下ろしはどうなるんだろうと思いましたが、きちんとこの書き下ろし含めて美しい物語の結末でしたね。哲学の要素は強すぎない程度に散りばめていて、出版社からしてもっと学問中心の話に仕立てることもできそうですが、あくまでもBLとして恋愛を軸にした物語におさめているところが良いバランス感覚だと思います。編集さんも力量のある方なのだろうなと感じました。
ふたりともずば抜けて優秀な学生ではあるけれど、若さ故の悩みや失敗もあり、性格には欠点もあって、決して完璧で善良な人間じゃない。だからこそ、足りないものを補い合って、よい影響を与え合い成長しながら生きていくことができる。私たちのだれもが何かしら共感できるところがありそうな、普遍的で等身大な恋愛を描いていて、そこがよかったです。
(追記)レビュー欄について出版社のコメントがありましたが、作家さんや出版社さん、真面目にレビューをされているファンの方が悲しむことのないようシステムが改善されることを願っています。