Ggさんがつけた評価
【このレビューはネタバレを含みます】(続きを見る)
タイトルが「心中」「二人(二つ?)の死」複数の意味に取れるけど、読者の解釈に委ねられていそう。なので他の方のレビューを見てふむふむなるほど!と思ってます。庭の人影のことが謎のままだけど「もうどうでもいいや」と全てを放り投げたような桂のモノローグで、深くこだわる必要はなかったんだなと思いました。
桂の栖に対する異常なほどの執着に萌えました。多分恋愛感情なんてとうに超えているレベル。怖すぎるし狂ってる。祖父も父も食肉衝動を長い間我慢し続けてきたけど桂は衝動が自制できないほど膨れあがっちゃって手遅れ状態。品川さんが死んだ時も「好転」と思える時点で常人には理解できない域まで到達している。「栖ちゃんのせいで品川は死んだ」と刷り込ませて罪悪感を引っ張り出す芸当さすがです!(怖すぎるにょ)その罪悪感だったり家族愛だったり「生まれてくる子供が遺伝によって食肉衝動と一生付き合うことになる」と言って芽生えさせた恐怖心だったりを逆手に取って、より自分に入れ込ませることができるもんね、そりゃ好転だわ(震)
桂は一貫して常軌を逸しているとは思うんだけど、栖も栖で着々と狂い始めててにっこり。カッターじゃ踏ん切りつかずにエグいナイフを用意してしまうところ、何度も腹を切られるうちにそういう行為や出血に慣れてしまったところ(ケロッとしていて怖い)、彼女への接し方など…。栖自身の人生は、恋人と結婚して子供を産むという普通の幸せからかけ離れたものになってしまっていて。そういう意味で言えば栖の生(=人生、将来)は「死」に至ったといえそう。そして大問題の書き下ろし、興奮しました、最高です。ハジメ先生ありがとうございます……。個人的には、血を摂取したあの瞬間から栖も桂と"同じ"になってしまったのではないかと思います。違和感を自覚した時の顔、そして口元に手を当てて狼狽えたような姿。うっそりと微笑む桂。チェックメイトですよね、これで「ウチの家系で兄貴だけが食肉衝動がないのずるい!」状態が解消されたわけです。桂がこちら側に引き込んだ。そういう意味では「心中」なのかな…タイトルが物理的な死にも観念的な死にも取れると思います。深い。
考察楽しいし兄弟間の執着や独占欲が楽しめる作品です。これから二人は自死を選ぶのか、それとも互いの血を求める共依存的な関係になって一生寄り添って生きていくのか。考えるだけでゾクゾクします。(閉じる)
>全てのレビュー(投稿:61件)