さゆうもうさんがつけた評価
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最後まで読めば全て解るというレビューが多いのですが、わたしには解りませんでした。最後の最後に「死者一人」となっていたので、この作品では最初から朱鷺子は死者だったのでしょう。わたし達は生きている限り死に向かって歩き続けている。作者はそういうことを伝えたいんだろうなとは感じました。
ですが、朱鷺子は死者だったのでしょうか。わたしは古河刑事の言う通り、朱鷺子はちゃんと生きていたと思います。生きて、魂もあるから色々な感情もあった。夏生と一緒にいるときはあんなに感情豊かで生き生きとしていたのに、死者だった?
死のハードルが極端に低いというのには大きく納得がいきました。ですが、周りの人達がどんどん死んでしまったのは「朱鷺子が何かを選択した」対価であって、全て偶然だったということでしょうか?どの死も、全て対価であり偶然だった?朱鷺子という死者を生かすためにそれだけの対価が必要だった?ひとつひとつの事件事故は対価だったというだけで何のからくりも無かったのでしょうか?
全然答え合わせが出来ません。
夏生の死に朱鷺子の絶望を感じました。全てを失ってやっと自由に選択できる、とあんなに晴れやかで軽やかに死ぬ朱鷺子。死者なのに死に向かって歩いていた?生きなければいけないという呪いから解放された?
これを書いているうちに少し整理出来てはきましたが全く釈然としません。もう一度読み返します。
追記
もう一度読み直しました。2巻と4巻ラストで答え合わせが出来たような気がします。ただ、朱鷺子が自分は死を呼び寄せてしまうことを自覚していたと思うのですが、それはあまりに救われないなと。夏生に甘えるような仕草には胸を打たれました。
こんなに脳内で討論しながら読んだ作品は無かったかもしれません。この作品と出会えて良かったです。(閉じる)
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