romance2さんがつけた評価
ロマンス成分はそれほど無かった。そのためか、比較的早めに二人の地固めがあり、読み手に甘味を与えておい...(続きを見る)
ロマンス成分はそれほど無かった。そのためか、比較的早めに二人の地固めがあり、読み手に甘味を与えておいてから、事件の発展的回収があった。ロマンス添え物感の抜けない作品。
サスペンス劇場やTVの探偵物のように、まとめて終盤に事件の真相を一気に説明されても、ここはハーレクインですから、と言いたくはなる。
(このまま幸せでいいのか)何だかこわいわ、という台詞が何かの予兆かと、別件の緊張が結局は人騒がせで、それだけ「料理番の娘」にはシンデレラストーリーだったことを、ただ伝えたかったのかと脱力。
4星でいいんじゃないかな、との迷いも結構あるが、ヒロインの、謹み深いのに正義感や勇気を以て逞しい行動力を発揮するところ、馬車の場面との相互関連など考慮し、大負けに負けて付けて5星。
働いて「自分で自分の生計を立てる』生活力を持つことに好意的解釈を物語上打ち出し、不労所得を持たずこれ迄はラッキーな生き方をしながら今後は享受出来ないであろう、クラリッサの苦難の前途を匂わせ、彼ベネディクトを調査のためと現場の村から遠ざけて、ヒロインに武器を持たせて活躍させるストーリーは、作り手の意志が透けてくる。ヒロインがただ守られてばかりではない人物像で好ましく感じた。
当初叙述された時間に厳格なベネディクトの人物像は、いつの間にか使われなくなった。
そんなところに、少々の締まりの無さを感じる。
実行犯達を突き止めないでいいのか。被害者家族の処罰感情は?いくら夫人の望みは真相を知ることだから、などと言われても、簡単に人を殺めた者達を、捕まえてと、本当に思わないものなのか?
野放しにしたまま、となるわけなのに?
お話であっても、そこのところがなんだかスッキリしなかったが、そういう話に仕立てる作者の意図がそこにあるので、話をこれ以上広げて頁を食わせない、適当なところで引き取るために収拾させたのか?
連続殺人があって、他に未遂事件もあって、それでも真相をそっとしておく・・。お話の上ではそれで良くても、登場人物は何人かが浮かばれないな、と考えてしまう。(閉じる)
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