romance2さんがつけた評価
敵も物騒さも読み進めるとあれこれと展開のうちに散りばめられている。
その中で、幼馴染みのような二人の...(続きを見る)
敵も物騒さも読み進めるとあれこれと展開のうちに散りばめられている。
その中で、幼馴染みのような二人の関係がどうなっていくのか、興味をうまく繋ぎながら、大人数の登場人物が手際よく出入りして自然。
押さえつけるように決め事をし、自分のやりたいことを自由にやらせてくれない伯爵は、ヒロインにとり、親でもないのに横暴で偉そうにしか見えないだろう。19歳には苦痛なのはよく分かる。その年頃はそれは自然だ。
女性として異性を惹き付けるようになったことにまだ不注意。
安全のための忠告を、うるさいと感じるのは、成長期にいるから≒未熟)でもあり、否定されていると感じるのは、信頼関係が確固としていない(≒尊敬も素直もない、この場合は甘えなどからではなく)でもあるだろう。
しかし、彼が心の中に小さくないポジションを占めていることに、この一冊かけてヒロインは漸くはっきり気づくのだった。
現代も女性には制約がまだ多いが、古い時代の窮屈さをこうした時代物のストーリーで見つけると、女には女の大変さがいつもつきまとうものだなと思う。言うことをきかせたい、支配下に置いておきたい、敬意が欲しい、そのくせ性的対象としての視線をぶつける、男性というもののいやらしい側面を、年頃の女の子目線でそれとなく触れていて、彼女の反発はよく分かる。
彼視点が混ざるため、彼の胸中を並行的に考えてやれる読み手は、ヒロインの、彼は何様のつもりかという、何だか気にくわない存在め、という感情への全面的共感を、作者が意図的に妨げてしまって、読者層の若めの方にも目配りされた構成。
何者かの企みが、正体をはっきりさせずにチラチラと未遂の形で断片を見せて、それを、彼のヒロインへの気持ちを試す材料にする展開なのも技巧的。ストーリーのその面白さに、読み進めるのが楽しい。
上流家庭の雰囲気とか館や外の雰囲気もよく出ていて、こういうストーリーに合った漫画家だな、と、視覚的にも満足度高い。
乗馬服の25頁のレイン伯爵は良かった。
100ページのキスシーンは萌え足りなかった。
追記)
二巻目の44頁まで読んでやっと気づいた。「消えた子爵夫人」の姉妹ストーリーだということを。
名前と顔を見て急いで原作者名と作品確認し、「失踪事件」が扱われて、互いのストーリー進行に深く絡んでいないながら、キャラに好意的な知り合いというのも、おまけの一興のようで気に入った。(閉じる)
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