実は相手の事がそこまでわかってなくても繋がりを感じてる関係の二人の物語。
電話シーンでは、電話話者のバックの景色とも言いがたい、ましてや互いの電話の向こうにはもっと無関係な絵が描かれて、二人の会話が他愛なく(でもなかったりはする)進行する
ところがあって、そんなところに、この作品の要素が入り込んでいる。赤岩、藤ノ木、電話のこっちの藤ノ木の回り、藤ノ木にとっての赤岩の回り。。彼我の相違が二人の間柄に悪い空気を入れて来ない。
きっかけには別離や心理的根拠を伴った背景というものがあったにせよ、理由を求めて関係が継続しておらず、ただそこにある友情。
相手が何者であるから好感、というのではなく、何者であろうと、という土台が、私の好みのストーリー。
unsung heroの語に状況説明臭と、正当化臭とがあり、これはストーリーの骨格への誤解防止には役立ったかもしれなくても、短編独特の削ぎ落としは緩んだ感がある。但し、おまけ扱いだから目を瞑れる。
4と迷いつつ、どのコマもはみ出してくると感じたほどお力がビンビン伝わったのと、舞台が目まぐるしく移ったのに鬱陶しくないこと、また、最終足掛け30年の構成が一層本作の語りを強化したこと、などから、質・量の好バランスを配慮して5星に。
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