たったひとつのことしか知らない
」のレビュー

たったひとつのことしか知らない

本田

大泣き?

ネタバレ
2025年12月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 私も作中の様に頻繁ではないけれど、数十年に一度くらい電話をする人がいるので、この物語を読みながら重なるものがありました。だからか短編ですが、深いお話だなと思いました。

2人は小学校の短い時間を過ごしただけだけど、互いに忘れられない存在だったのかなと。そこに歳は関係なく、毎日の日常の中でふとひとりになった時、気遣いも何も要らない心を通わした相手と過ごした時間が、自分にもあったじゃないかと。そんな風に相手を思い出した時、今の日常がスッと消えてあの時が蘇る。そんな時、赤岩さんは藤ノ木さんに電話をしたのかなと。藤ノ木さんにとってはそれが深夜だとしても、彼と話す時間は特別で。離れてしまってからは会う事はないしこれからも会えるのかは分からないけれど、互いの人生の中では今も繋がっている。そんな不思議な時間を共有する唯一の相手なんだろうなと。

赤岩さんの職業の様な…あんな風じゃないけれど、外交旅券で世界を周る人、警察、軍関係の人はいるだろうし。退職後は何も話せないし話せなくなっているから精神的に大変で、赤岩さんもそうなのかなと。だけど彼は藤ノ木さんと再会する事ができて。
彼の失った脚を見て、そんな所が変わってない、のあのひと言は、赤岩さんにとってめちゃくちゃ救われたんだろうなと。あぁ、還りたいと思い願った場所にようやく戻れたんだろうなと。そんな風に思いました。

赤岩さんは小学生の頃、佐々木さん狙いだった所からそうではないのかなと思いましたが。だけど藤ノ木さんに対する感情というのは、友愛や敬愛とか…。彼の人生に藤ノ木さんは欠くことができない存在なんだろうなと思いました。お互いに。そこが尊い。
お気に入りにずっと入っていたので、良い機会を知って感謝です。
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