変わったストーリーで、二巻構成。
活字ではどう表現されていたのか俄然興味を持った。(私は原作はまず読まない。)
アリスン先生が活字をどう視覚化されたのか、そこを知りたい。
先生の描かれるヒロインは子供じみた顔のも見たことがあり、試し
読みでそこまでではないと確かめてから安心して入った。幼顔は大して問題なかった。
一口に永遠の愛というけれど、この、永遠ということを冷静(?)に、独自(!?)に表現した、気が遠くなるくらいに続く愛。そして、一直線に愛を貫く彼の、ヒロインに身も心も全て渡してしまっている男のひたむきさが物凄い。会うための行動は、自分を傷めること。八百屋お七もかくや、なのだ。
実際他に方法がないからなのだけれど、凄まじい。情念ありき、会いたさ故に砂漠の熱も夜の砂漠の冷たさも、ヒロインによるメンヘラ(?)的拘束も、結果耐えられる訳だ。。永遠の孤独になりそうだったのを彼の愛が回避させてみせた。ほんの五十年ほどは孤独ではなくなった。ヒロインが何者(異形の者であろうとも)であれ、ウィルは愛している、という物語の骨格は私の好きなパターン。
この話、意識(霊?魂?)を扱うため、時間進行、行動範囲、キャラの驚異的身体能力など縦横無尽、ほぼ垣根無し。
読み手を引き込む意図が透けるように感じるあおりの強い冒頭。どこかTL若しくはオカルト?志向を感じて、何だかあざとく思えて初めは敬遠しようとした。ところが、読み進めたら、いやそれはH路線のためなどではなく、ストーリーの要素だと解った。そしてヒロインが想像を絶する長さの時間を待ってきていることを、怖がって逃げたりしない。やっと会えたら、逃げる気毛頭なし、何されたって逃げようとなんてしない。砂漠から決死の逃避行をした人が!
趣向の違いはあれど、ポーの一族を読みたくなってきた。時の間をさすらって、ヒロインは守護霊に会うことを目指して、ただ生命が長くなったのでなく。会いたい人が居るって素晴らしい。
でも、いざ突き止めてみたら、自分から前へ出ていけない。何故なら人間ではなくなったから。ここが彼らの哀しみの定番の所。
夢と現実、空中と時間を浮遊して出会った二人。
その境を超越して愛していく。正にトワイライト、逢魔ヶ時、か。
HQには類型化出来る似たような話が何千点もあるけれど、この特異な感じはHQ史上の上位に来るほど。
強烈な印象に残る作品だ。
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