古事記を題材にした作品はこれまでにも数多くあれど、藤原不比等の視点から描いた作品は、私が知る限りですが、初めてではないでしょうか。それも王など「登場人物」ではなく歴史書を編纂することそのものがテーマという発想がまず面白い。それを藤原不比等(
作品中では中臣史)が抱えているものとうまく絡めて描いています。
当然ながら古事記の内容についても簡潔にわかりやすく説明してくれているので、古事記を読もうとして挫折した人にも取っつきやすいです。出てくる神の名前が長くて覚えにくい以外は(笑)。
古事記を読んだ人が抱くてあろう感想を筆記役の太安万侶が尽く言ってくれるのも良いです。「何でも歌にすればいい感じになると思うなよ」は笑いました。稗田阿礼を意識してしまう可愛らしさ?もあって、すっかり太安万侶ファンになりました。
絵柄は現代風ですが、当時使われていた言葉をできるだけ使おうとする努力も見られます。それだけに、忍壁の口調だけが違和感あって仕方ない。母親の位が低いとはいえ、皇子がそんなぞんざいな話し方しますか?
すごく楽しんで読んでいたのに6巻まできて、がっくり。これから更に面白くなりそうだったのに6巻で打ち切りなんて出版社は正気ですか。断然続刊希望します。星減らしたのはこれが理由です。
面白くて感想長くなりましたが、読了後の悶えに耐えられる人は読んで下さい。うっかり古代史を読んでみたくなります。
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