言葉にすると陳腐になるけれど、人とのふれあい、心の変化、家族とは何かをそっと問いかけるヒューマンドラマ。主人公の痛々しいほどの自立心が、同居人との化学反応で綺麗な軌道修正を施されていく。その過程が、家族を成していくドラマとなり、同居人(兄)
の存在を、また別の境遇を通じて形成された人となりを知って、深い理解になっていく。
彼らとは一緒にならないが、甘え下手を自認する卑近な自分の投影もしてしまった。
かわいそうでしょう、大変でしょう、という見せつけ方をせずに、でも、抱えているものが内にあって。小さな積み重ねを、まず一週間、夏休み、2年、5年と期間掛けて、二人の関係性が築かれていく。しっかり毎日を過ごして、日常のささやかな出来事に楽しみや喜びを見出していく二人の在り方に、上手い畳み掛けの描写が効果的。
この漫画の凄いところは、この設定で、二人のあれこれが何度も胸にじんわりくるところ。人の情を感じさせるところ。主人公当人の心身の成長と周囲の関わり方なども絡ませて、実は自然に素直になっていった主人公の姿に、喜んでしまう読み手の私も居た。
モノローグ型で構成されてる。
この題材で全3巻。たいした手腕だと思った。
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