父親に家を出るように言われ、再婚した母を頼ることにした怜央は自由奔放で子供っぽい義理の兄透介と一緒に暮らすことになるお話。
怜央が誰にも迷惑をかけないように自立しようと大人らしく振る舞う様子に最初はとても心が痛くなりました。そこから、透介と出会い真っ直ぐな感情表現を受け取っていくうちに、徐々に変化していく過程がとても丁寧に描かれています。人からの好意を遠慮したり自分の気持ちを諦めたりしていた怜央が、透介や進藤一家の優しさや愛情に触れ、自分の気持ちを伝えたり、感謝したりと成長していく姿が素敵でした。
また、家族には様々なカタチがあるというのも良く伝わりました。血の繋がりはあるけどギスギスした関係だった父親よりも、一緒にご飯を食べたり相手の為に何かしたいと心を通わせあっていた透介との生活の方が、ちゃんとした家族としての絆を育めたと感じました。
子供らしくない子供の怜央と大人らしくない大人の透介。周囲の理解と優しさ、そして彼らの思いやりがホームドラマよりも素敵な家族のカタチを作ったと思います。そして、怜央が大人になっても透介が子供のままでも家族の温かさは変わらない。家族の愛情が身に沁みるお話です。