HQに関してヒーローという言葉を使われると、どこか違和感がありました。
私の思っている所謂ヒーローっていうのは、世の中全体の正義の味方で、時として組織にさえたったひとりでも勇敢に闘いを挑む、優れた武術の使い手で、悪い奴に立ち向かって切り込んでいってバッタバッタとなぎ倒し、の、いかにも武闘派イメージ強くて、そこのヒロインも只のか弱い女性だったり、ヒロインのピンチにはいいところに駆けつけたり。
一方、HQのヒーローとは、ヒロインの相手役の位置付けとしての呼称、つまりヒロインの対語であるのみ。財産や地位という即物的な、ある意味で現代的なパワーの保持者、「現代社会の強者」は体現している、という「ヒーロー」でした。
このストーリーではヒーローなる言葉は、私の思い浮かべるイメージで使えます。古くからの北欧のお話の勇者を思わせるヒーローです。
いい人かどうかまでは分かりやすくありませんけど。影あり謎めいていて、陰キャラに見せて男性的魅力で引っ張るとこありますから。
それにしても星合先生の描かれる男性で、そういう意味合いでヒーロー然としたのを見れて嬉しい作品です。なにしろルックスに加えて、ご当人の長年の隠密行動でなにか余計にそそられるので。
しかも、ヒロインも素敵。
ヒロインの母親&姉妹が、拠点はアメリカという「今」を象徴する社会に住んでいて、そこからの迷いこんだ北の王国、ハーレクインだなぁと思わせる舞台装置、現代の「姫」像みたいなヒロインが、そこで彼女流に過ごすギャップが、一種のアトラクション体験感覚となります。彼と、一時的でいいから愛人でいいから、とするストーリー進行なんて、これまたハーレクインそのもの。
二人の成りゆきと、彼の抱える事情の解決とがうまく引っ張ってくれます。
私は単品として読んでないのですが、そっちでレビューとなると一作だけに焦点絞れないのでこちらにも書いておくことにしました。