名だたる美女を傍らに置き楽しむ生活をしてきたマキシムも、パワーゲームに利用するために落としたグレースに庇護欲が芽生えたように見えた。彼も貧しさと耐え忍ぶ愛情を知っていて、辛く悲しかった子供時代を彼女に重ねて家族への憧れをその姿のむこう側に見ていたのかもしれない。やり口の汚い前のボスには何かしら反撃したいが、契約が反故になった時点でザマーミロだけでは私には足りなくて身震いがする。マキシムから逃げたシベリア鉄道の旅は、バイカル湖という世界一汚染されていて世界一美しいと言われる様を描き切れていないのは残念だが、並走する車にはマキシムの姿を見つけて嬉しい限りだけれど、駅でもないところで止めてもいいの?止まってくれるものなの?彼の力で(金でも握らせて)止めたの?とどうでもいいけれど気になった。