かなりいろいろとあるのに騒がしくなく、むしろ落ち着き払って話が進行する不思議な感じ。
先生がちゃんと外国人に見えるのがいい。今読もうと思っている、同一原作者で同じ葛城先生の漫画化の「二人のティータイム」で、両方試し読みしてこちらを先に読むことに。制作年古いらしいが、こちらの方が断然私には登場人物達が魅力的で、フワリとしたゆとりがある。あちらは、作風がコワくなっていて、読み手を親しませない壁を感じる。
が、そうはいってもなんだか、本作の熱の伝わりにくさが英国やオランダか、と、変なところで合点も行く。ドイツ語圏とオランダとは使用語は違うけれども、地理的にそこまで離れていないから許してもらうと、ドイツ語圏は、職場でファーストネーム呼びを好まないと聞く。この二人の前半のやり取りに、いつまでも距離の近づいた感じがしないもどかしさ演出効果も想像しつつも、すごくその空気感がほどける時間がかかっていくのを予感させて、オランダ設定という原作者さんにクスリとなった。
この原作者の作家先生には沢山のファンがいらっしゃることを、HQコミックの数々のレビューで知った。原作は読まないタイプの私としては、ここには原作ファンの目とかけ離れた感想をきっと書いてしまうので、ちょっとスミマセンという感じだ。
さて物語だが、二人とも夫々内心で独りで静かに考えているため、独特の空気が二人を各エピソードに運び、まさに空気を掴むかのように、読み進める。
テープカッターがそこまでとは、日本の物とは違うのか? 優秀な医師の頭がどうって、重くて立派な物なのね、でも、それを、秘書机の向こうから、ドアに向かって投げつけること出来たのでしょ?、そこで自覚って、意外過ぎて狐につままれたよう。
「まずい」(65頁)と狼狽え、ヒロインへ傾きかける自分を彼がやめようとジタバタせず、あっさり次のシーンで急展開。
全般に入り口でウロウロしてたのだから、彼の転換点そのものを見たかった。転換点の描写はどこかに親切心による絵が欲しかった。
兎に角互いに相手に対して多くを語りかけない。
踏み込んで来ない中で、乏しい材料で結婚まで到達する、静かに内面で抱く感情カードの、慎重?な切り方に、このオランダ人医師の風貌はとても合ってた。彼のルックスは素晴らしく、何コマも楽しんだ。屋根の場面は良かった。
ただ36頁は手が相対的に大きすぎてビックリだ。