「ぎこちない足取りよりも 頬に走る傷跡よりも 圧倒的な存在感に 目が離せなかった」不幸のスパイラルに陥っていく姉妹が いきなり現れたヒーローマイルズに 畏怖と畏敬の念を抱いた様子がよく伝わる。悲劇から始まった物語の中の暗さは、この先にあるどんな未来にも影を落とすような陰鬱さに包まれていて、マイルズの容貌がそれに拍車をかけている。が、ヒロインフランチャスカの「この男が私の運命を握っていると悟った」という惹かれずにいられない恋模様が私に期待感を増幅させた。綺麗な初恋を追うように、自らの荒れた手を眺めては気落ちして 手に入らないものを請う気持ちを抑え込むフランチェスカに心が痛む。けれど、父を責めたりせず懸命に前を向いていく彼女には感心する。なかなかできない事。2人で訪れたレストランでの出来事から変化が訪れる。口さがない人々からマイルズは彼女を守り、そしてフランチェスカも彼を守った。この直後の陽気な彼はきっと怪我をする前の彼自身が顔を出した瞬間と思う。アラステアの事も布石が有って展開が良い。マイルズの体が回復すれば明るく幸せな家庭が築けるのだと 希望が見えた瞬間だった。