都会の母子家庭の少年が田舎の実家に1人預けられてしまうことから始まるお話。
預けられた先は優しい祖母、優しい隣人達がそのまんまの彼を受け入れてくれようとしますが悲しみと寂しさで絶望している本人が受け入れることができません。
乾いた土の中では生きられない。
彼の母親も生きるため生かすために乾いた土から避難して、息子も避難させたのではないかな。
人間は不思議なもので自分ばかりを見ているとどんどん乾いてしまう。乾いて欲しがり刺々しく身を硬くしてしまう。
ふと目線をあげて他のことを見ることが出来れば途端に乾いた土に潤いが戻ることがある。そして与えることができるようになる。
彼の成長や環境をカブトムシやセミの変態になぞらえて進んでいきます。
必死で隣人の手を握った瞬間、彼は潤っただろうし、羽化し未熟ながら綺麗な羽を持ったのではないのかな。
周囲に翻弄させられる子ども達も、頑張ってるおとな達も、何度も何度も身を硬くしその度に綺麗な羽を羽ばたかせながら都会であれどこであれ自由に力強く目線をあげていて欲しいし、私もそうありたいと思いました。
素敵な短編でした。
☆☆腐を心の支えとしている私は5年後位のBL妄想で二度美味しい。純粋な読者の方にお詫び。ごめん性だから。☆☆