ロクデナシの父親に散々な目に合わされても健気に耐え続けたヒロインには、寄り添ってくれるアーロンがいた、母親がいた、そのことが彼女の強さの理由に大いに納得できた。支え続けてもらえることがこんなにも強く優しくなれるのだと久々に思い出せたような気がする。何よりも、他のHQを読んでもなんとなく座り心地の悪かった「愛は無くならないの」という本物を見た気さえした。ヒーローにしてみればあまりにも過酷な仕打ちに友人さえも利用してのし上がらねばならないという目標にはなったけれど痛々しい。今の地位を獲得してきた背景にも、口をつぐんで余計な事は言わなかったと思われ、復讐だと言葉で示しても兄弟と力合わせて戦ってきた背景が分かって力強く感じた。ののしり合いなど無く、全ては終わったことと静観しようとするヒロインの姿勢に共感したしその品性にも感動した。言いたいことは山ほどあるだろうに。最後の最後に持ってきた和解も違和感が無くて、さもすれば説明分の朗読ともなり得そうな部分を上手く作られていて、号泣ではなくポロッと涙がこぼれてきた。