値上がり後滅多に読まなくなったが、たまには読んでみる。
ストーリーに起伏を求める人には物足りないかもしれない。
ただ幸福感が欲しいとき、ハッピーを味わいにこのジャンルを読みに来る。
家政婦が派遣先の家の雇い主に見初められるハーレクインの一類型。
桜屋先生の絵がちょっとあっさりしているのがお話全体の薄味の味付けに合っているが、男性はイケメン感少ないというか、ちょっと残念というのか。
謎のやせ我慢の滑稽さは楽しませてくれるし、周囲からの援護射撃が温かい。
そして、死というものは、突如築き上げてる人間関係をプッツリ断ち切ってしまう、ということ、人生の途上に出現する感じは伝わる。そして辛い悲しみの共有が結びつきを強める、二人の成り行きは、読み手の余暇や期待に沿う。
いろいろと積極的そうなイメージの男性の、ことアビーに対する煙幕が長いことが、ポッキリと抵抗をやめた後の一転した姿と対比出来る仕組み。
「二人きり」回避策もソフィーの面白がりを通じて却って絶妙に進んでいくのが物語上いい仕掛けに。その辺りのドキドキ感、如何せん絵が爽やかななので空気が濃密さを増すシーンなのだが性的な関心よりも淡い感じ。
そこが桜屋先生の絵の持ち味でもあるから、一概にどうとも言えないが。
二人はいい大人同士、一方で、進んでもただれた雰囲気がないのは、むしろ美しく健全な風で読後までさらさらとしてる。が、割りきった、とあろうとするあまりの、84頁のジェイクのセリフ、この手合いにありがちとはいえ、わざとらしさに既視感はある。
(少女漫画の世界では手垢の付いたところだが、ロマンス物の世界は古今東西で今や似てきた、近付いてきたのかもしれない。)
お父様の年齢、兄妹数を考えると、え?だ。