ヒロインコリーンの身に被った悲劇を題材にして本物の愛を求める物語は、ヒーローケイドこそが真実の本物の愛を見たいと手に入れたいと懇願している物語に思えた。この作品で面白いのはアンジェラという登場人物の配置にあると思う。彼女は一見当て馬に見えるが、実はケイドの中にある闇の部分のケイドに思えるのだ。アンジェラの行動手紙を隠す、金目当てのコリーンを排除しろ、自分と結婚するべき、この全てを闇ケイドに置き換えると分かるが、面倒な手紙はいらない、コリーンはあの女の姉、好都合ならアンジェラで良いはずとなる。いわば、自問自答をしているわけだ。それに、アンジェラとコリーンとの対峙場面。コリーンは手紙を隠したことは謝罪を求めているのに、契約結婚は真実だからそう反撃できるはずなのにさせていないのがその真意にみえるのだ。彼はコリーンを傍に置き試している(教えてほしいと乞うている)。本物の愛はあるのか。手に入れられるのかと。傷ついた両者にとって疑心暗鬼になるのは当然の事と分かるが、安寧を求めるのも当然の事だからこそ、疑って、疑って妥協ではないところで寛げる場所を作り上げたい、そんな気持ちが物凄く伝わって胸がつぶれそうになる。なまじケイドが精神的に強く体力もあることが、辛さを大きくしているように感じる。コリーンの背中にそっと手を添えて同じ牧場の風景を立って眺める場面が、2人ならできるという未来を暗示しているかのようで、コリーンが感じている優しい男性以上の本来の彼の望みをヒシヒシとこちらに伝えてくる気がするのだ。コリーンの(幸せの、愛の)傍にいたいと。