前半は防犯探偵と美人弁護士が協力して密室トリックを暴いていく内容で、あらゆる仮説を立てては一つずつ潰していく地道な捜査はやや冗長気味で、これは謎解きではないなと思いました。俄然面白くなったのは後半犯人視点になってからですが、彼の境遇には同情しかなく思わず肩入れしてしまいました。せめて自分のこれからを諦めずにしっかりと生きて欲しいと願わずにはいられませんでした。硝子のハンマーは彼の心そのものであり、タイトルの意味が辛かったです。密室を使った巧妙なトリックはお見事でしたが、トリック自体は難解すぎて正直理解できませんでした。そもそも殺人まで犯す必要があったのか、動機が少し弱いように思います。まだ1作目のみの購読ですが防犯探偵シリーズとして続編も出ているようで、今作ではどこか噛み合っていない2人でしたが、今後名コンビになるのでしょうか。続編も追ってみたいと思います。