シリーズ二作め。15年ほど前の作品で、詳しく検証したわけではありませんが、暗いというか重いというか、何となく作風が今とは違う気がしました。久しぶりにこのシリーズを読んで、改めて「コメディっぽいものからハードボイルドまで幅広く書かれる先生だな」と思いました。幅が広いというか振り幅が大きい感じですかね。
他の作品で明るく楽しくなってこちらを読むと…人間社会の暗い部分や世知辛さ・生き辛さ、当たり前と思っていた価値観を根底から覆されるような不安を感じさせられます。
大抵の読者は、坂下寄りの考えや発想をすると思うので、自分の当たり前が当たり前でなかった時に深い痛手を追うし悩みもします。どうにもならない人間関係の連続に、私まで暗い気持ちになる事が多かったけど、そんな中で坂下の人間臭さが活きてきて、心に沁みました。ラストの三角関係には度肝を抜かれ、問題解決の斬新さに驚きましたけど、坂下の奮闘が巡り巡って福に返ったようで(複雑だけど)ホッとしました。
医師という職業から…だけではない人情味あふれる坂下を、面白おかしく・目一杯・エ◯いっぱいのオヤジらしさ全開で陰日向になりフォローする斑目も楽しかったです。