作家さまの別のお話(子連れSAT)は消化不良でしたが、こちらはすごいの一言で、大満足です。代理ミュンへハウゼン症候群だった母に育てられた鉄ニは、母の手によって精神に深い闇が刷り込まれてしまった。自分を、人を、切り刻むことでしか【生】を感じられない。大切に思う杜若(の美しい刺青)を傷つけられないから、自らを切り刻む。それだけでは足りずに組に敵対する人物を猟奇的に切り刻むことでなんとか生きていられる鉄ニと、そんな鉄ニを周りに反対されても見捨てられない杜若。メリバとしか言いようがないラストですが、経済ヤクザと狂犬が組み合わさるとこうなるという、ある意味救いようのない世界観に引き込まれました。誰にでも勧められる作品ではないけど、【病み・闇】が得意な方なら多分大丈夫。