戦後の日本が舞台で、昼ドラや朝ドラのような雰囲気です。時代背景の描写が緻密ですが、肝心の恋愛があまり萌えない感じでした。何の捻りもない予想通りの展開で、ありきたりな印象です。今まで読んできた丸木作品が良すぎて、それと比べてしまうからか、特別良かったという感じはしませんでした。欲を言えば、もう少し友人や家族の話よりも二人の恋愛をメインに読みたかったです。受けは育ちや状況を思えば仕方ないとはいえ、流されやすくて見た目以外の魅力が乏しいと思いましたが、攻めの病み系執着からのラストの告白にはグッときました。本作は攻めが主役のほうが良かったのでは?と思うくらい感情が複雑で奥行きのある魅力的なキャラクターです。文章は読みやすくて艶があり、時代背景と相まってより美しく見えました。